外に並びたくないので、郊外店の入れ替わり時間を狙い、10時15分着を目標に向かった。
これならギリギリで手に入るはず。
……そう思っていた。
しかし――
「完売しました」
えっ?
それなら市街地へ行くしかない。
途中でもう一軒、別の郊外店に寄ってみる。
「完売しました」
……。
市街地の店、大丈夫なのか?
不安になりながら、吉野家へ向かう。
いつもなら60分100円のパーキングに停めるところだが、今日は一刻も早く店へ向かいたい。
100mほど近い、50分100円の駐車場へ滑り込む。

アーケードを小走りになる一歩手前くらいの早歩きで進む。
そして角を曲がった瞬間――
目に飛び込んできた。
「ドラクエウォークセット販売中」
の垂れ幕。

ふぅ……。
助かった。
しかし、店内を見ると、食事中の人の後ろに立って待っている人がいる。
整理券を持っている様子もない。
「えっ、ここはラーメン二郎方式なのか?」
一瞬、不安になる。
「吉野家なのに、人気ラーメン店かよ」
心の中でツッコミを入れながら、自分も席が空きそうな人の後ろへ並ぶ。
ほどなくして席が空き、無事に注文できた。
そのタイミングで店の電話が鳴る。
どうやら在庫確認の電話らしい。
店員さんが、
「あと15個ぐらいですね。席は空いているので、すぐなくなると思います。お早めにどうぞ」
と答えている。
注文後、ふと思い出した。
「あぶねぇ……」
そういえば、この店は2階席がある。
見渡す限り満席だったので、呑気に
「ちょっと飽きてきたし、卵でも付けるか」
なんて考え、じっくり操作していた。
もし2階席に団体客が入っていたら、危ないところだった。
DQ7の石板集め並みに苦労したフィギュア集めも、ついに7種類コンプリート。
残るはスラミチのみ。
そういえば、石板って何のために集めていたんだっけ?
思い出そうとしても、はっきり出てこない。
覚えているのは、クリアまでに1週間、70時間もかかったこと。
そして、朝起きたらコントローラーを握ったまま寝落ちしていて、画面の中ではパーティーが全滅していたことくらいだ。
何年か経ったら、このフィギュアたちも同じような存在になるのかもしれない。
そんなことを考えていると、牛丼が届いた。

袋を見る。
丸い。
……デカくない。
指で軽く押してみる。
四角くない。
触ってみる。
丸い。
うーん。
これは……。
おそらく、どんぶりスライムB。
嬉しいような、嬉しくないような。
なんとも微妙な気持ちになる。
でも、看板ではない。
もしかしたら、誰かと交換できるかもしれない。
これは未開封で取っておこう。
しかし……。
いつも「すばやさの種」とか「ちからの種」とか、もったいなくて大事に取っておくのに、結局最後まで使わないんだよな。
そんなことを思い出した。
イベントも明日で終了。
必要なアイテムは確保した。
あとは最後のスラミチに挑むだけだ。
そして、せっかくなので駐車時間の50分を使って歩くことにした。
ちょうど旦過市場まで行って帰ってこられる距離だ。
以前、連続火災で大きな被害を受けた場所だが、半分ほどは復興されていた。

歩いていると、ローカルチェーンの肉屋「肉の秘密基地」が目に入った。
「この店、火災前はなかったですよね?」
そう声をかけると、
「そうなんですよ」
と、感じの良い店員さんが答えてくれる。
少し雑談していると、弁当が並んでいることに気づいた。
視線を感じたのか、
「この弁当、黒毛和牛なんですよ」
と教えてくれる。
「黒毛和牛なんですね。夜まで大丈夫ですか?」
と聞くと、
「大丈夫です。容器もレンジで使えます」
こちらが聞きたかったことまで察して答えてくれた。
それなら買うしかない。
黒毛和牛弁当。600円。
ついでに隣の豚バラ弁当ともつ煮も購入した。
こんな一等地に店を構えているのに、
「秘密基地」
という名前も少し不思議だなと思いながら、家路についた。
ドラクエのアイテム探しから始まった一日。
最後に手に入れたのは、思いがけない黒毛和牛弁当だった。




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