北海道4日目

今日は余裕をもって出発しようと、漫画喫茶の8時間パックを使い切る前に出ることにした。

サクッとシャワーを浴びて、体の疲労度をチェック。

昨日までかなり移動しているけど、道が直線ばかりだったせいか、疲労はほぼなし。

店員さんに大量の使い捨ておしぼりをいただいて出発する。

そう、フロントガラスが汚れているのだ。

借りた時からの拭き残し。

車体はきれいなのに、一番重要なガラス部分をきれいに拭かないとは……。

朝日が差し込むと、フロントガラスの点々とした汚れがやたら目につく。

こういうの、気になるんだよな。

知床へ向かうので東方面へ。

まずはガソリンを入れて、コンビニでおにぎりを購入。

車内を汚さないように、海苔のないタイプをチョイス。

配慮のできる大人って感じだ。

途中、浜辺に車を乗り入れて投げ釣りをしている人たちを発見。

この車で砂浜に乗り入れたら、谷亮子にバレるだろうな……と思い、自粛。

しばらく眺めていたけど、竿が曲がる気配はまったくない。

釣れそうにないので、再出発。

移動しながら、知床五湖をどのルートで回るか考える。

どうやら、ヒグマの生息地にお邪魔するという心構えが必要らしい。

選択肢はこんな感じ。

① 一湖だけを見る

高架木道なので、電気柵もあり、クマに襲われる可能性は低い。

② 一湖・二湖を見る

60分程度のトレッキングコース。

二湖以降は世界自然遺産区域なので、レクチャーを受けて「立入認定証」が必要。

③ 一湖~五湖を見る

90分程度のコース。

④ 一湖~五湖をガイド同行で見る

3時間ほどかけて、ガイドに案内してもらう。

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パチ屋のイベントカレンダーみたいな目撃情報を見ていると、水曜日って危険じゃないか???

しばし熟考したが……

まあ、行ってみないことには分からない。

ということで、行くことにした。

③をチョイス。

ただし、クマ対策は必要。

音を出しながら歩けば、クマも距離を取るらしい。

ならば、六甲おろしのリズムでペットボトルを叩けばいい。

「阪神ファンがいる!」

と思って逃げ出してくれるだろう。

最悪、クマと近距離で出会っても、以前見た「ザ・ファブル」のように、手を広げて背中を見せず、ゆっくり動けば何とかなるだろう。

それでも向かってくるなら、折りたたみ傘でエリマキトカゲ作戦だ。

一番危ないのが子グマらしい。

木に登っていることもあるので、上にも注意しろとのこと。

そして、子グマの近くには必ず母グマがいる。

……そりゃそうだ。

講習を受けたのは4人。

そのうち2人はガイド同行。

残った私と、もう一人の男性で出発する。

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なぜか自分が先頭。

傘を手に、完全に戦闘態勢だ。

というより、かなり怖い。

この歳になって、こんな恐怖を体験するとは思わなかった。

「あれ? この前もこんな感覚になったな……」

いつだっけ?

「あぁー、USJのジュラシック・パークのコースターだ」

思い出さなければよかった。

恐竜を連想し、余計に怖くなった。

「こういう場所で、ラプトルが出てきたよな……」

なんて考えながら、ペットボトルを叩きまくる。

そして耳を澄ます。

……クマ、いない。

よし。

上にも注意して進もう。

そうやって進んでいるうちに、後ろの人との間隔がどんどん開いていく。

完全に一人旅。

そこへ雨まで強く降ってきた。

ヤバい。

雨音で周囲の音が聞こえなくなる。

これは気配を消してしまう。

もう頭の中は真っ白。

早歩きで、とにかく進む。

そして、ほぼ60分で完走。

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受付に戻ると、

「早かったですね」

という感じで、ちょっとニヤつかれている。

そりゃ早くもなる。

こっちは命懸けなのだ。

無事に戻ってきた安心感で、急に腹が減ってきた。

「腹が……減った」

まさに孤独のグルメのゴローさん状態。

道の駅で「ナメタガレイ一夜干し定食」を食べる。

これが、

「なにこれ、うまい!」

身がふっくらしているのに、ホロホロ系。

かなり好み。

縁側まできれいに食べていると、近くに香水のきつい人が座ってきた。

……退散。

もう少し食べたかった。

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そして、忘れるところだったけど、ドラクエウォークのランドマークもゲット。

知床五湖は冬季閉鎖になるため、道の駅に併設された知床文化会館が新ランドマークになっているようだ。

こんなところをランドマークにするとは……。

まあ、取れたからいいけど。

その後も安全運転。

対面片側一車線の道を、前のトラックについて60キロちょっとで走っていると、後ろから次々に抜かれていく。

おいおい。

2台同時抜きとか、すげーな。

しかも大型トラックに抜かれるという、なかなかレアな体験までした。

そして最後にガソリンスタンドへ寄って満タンにする。

洗車用のタオルが置いてあったので、ついでにバンパーの汚れなどを拭いておく。

すると、明らかに虫の汚れではない、凹みのような黒い部分を発見。

「ん?」

借りた時には、こんなのなかったよな。

そこで、乗車前に撮影していた動画を確認する。

……見当たらない。

これは自分がつけたのかもしれない。

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返却時に谷亮子に事情を説明する。

「音楽もかけずに走っていたので、衝突音とかはなかったです。駐車場でも他の車とは離れたところに停めてました。ただ、気づいたら1ミリくらいの塗装剥げがありました。これだけきれいにしている車なので、大事にされているんだろうと思います。必要な分は支払いますので、正当に請求してください」

まあ、1万円くらいだろう。

高くてもその程度。

快適にドライブできたし、払う気はある。

すると、谷亮子が頭の中で電卓を弾いているようなそぶり。

そして、他にも傷がないか入念にチェックし始める。

車体の下まで見る。

後部座席も見る。

そしてサイダーの缶を発見。

こっちをチラッと見る。

おいおい。

そんなところ、引き渡し時に両者でチェックしてないぞ。

「それ、前に利用した人のですよ。血糖値が高いから、そんなの飲まないです」

そう言うと、不機嫌そうに缶をゴミ箱へ投げ捨てる。

段々、こっちもイライラしてくる。

向こうもそれを察したのか、旦那さんを連れてきて事情を説明する。

旦那さんと話す。

「この1ミリくらいの塗装剥げなんですけど、心当たりはありません。ただ、ガソリンスタンドでタオルがあったので、車を拭いていて見つけました。借りた時の動画には映っていないっぽいので、おそらく私がつけたんだと思います。ただ、音楽も消していたし、衝撃音もなかったので……」

すると、

「音がしなくても、このくらいの塗装は剥がれますよ」

とのこと。

おいおい。

そんなので傷がついていたら、15年も乗っている私のプリウスなんて、もうボロボロじゃないか。

そんな傷、一つもないぞ。

スズキ車はひ弱なのか?

……と思った。

まあ、経緯は置いておこう。

結果がこうなった以上、

「正当に請求してください」

と伝える。

すると今度は、

「こんな傷くらいで請求していたら、レンタカー屋なんてできない」

みたいな話になってくる。

話を合わせていると、

「ここにも傷あるでしょ」

と、フロントガラスを指差す。

確かに。

よく見ないと分からないレベルだけど、傷がある。貸出時には言わなかったぞ。(← ここ重要)

まあ、とにかく谷亮子は納得していなかったようだけど、最終的には請求なしということで決着した。

なんだか腑に落ちない。

払うと言っているのに請求しない。

なぜ?

そこで、札幌へ向かう列車の中で、乗車前に撮影していた動画をツールを使って細かく分析してみる。

すると……

傷が映っている。

よく見ると、他にも虫の汚れが多数。

そういえば、ガソリンスタンドで拭いても拭いても落ちなくて、イライラしたのを思い出した。

……これ、前からの汚れだったのか。

「あれ?」

……そうすると、借りた時からあったってことじゃん。

そこで、ふと思った。

「あっ……」

旦那さん、もしかしてこの傷に心当たりがあったんじゃないか?

どうしようかと思ったけど、谷亮子に電話しておいた。

「傷が小さすぎてスマホレベルでは分からなかったんですけど、ツールを使って動画を確認したら、しっかり傷が映っていました。こうやって電話するか迷ったんですが、気持ちよく取引するために、社内での情報共有や、御社側も貸出時にエビデンスを残すことをお勧めします」

と伝えておいた。

根は悪い人じゃないんだと思う。

ただ、マイルールが強すぎて、一方的だったなという印象。

借りる時に高圧的に忠告されたんだから、こちらも返却後に忠告するくらいはいいだろう。

そんなこんなで札幌へ。

地下通路を歩いていると、歩きスマホの人に抜かれる。

こっちは普通に歩いている。

向こうはスマホを見ながら歩いている。

それなのに抜かれる。

北海道最後の強敵、ヒグマでもなく、レンタカー屋でもなく、札幌市民の歩行速度だった。

ボス戦には完敗したが、これで今回の旅で予定していたランドマーク訪問は、すべて完了!

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今日は飲むぞ!

向かった先は、狸小路商店街にある魚系の居酒屋。

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お目当てはツブ貝。

これが好きなんだよなー。

注文してみると、やっぱりうまい。

スシローのも美味しいけど、北海道で食べると何か違う。

濃厚というか、奥行きがあるというか。

サンマの刺身、ヒラメ、ニシンの刺身も美味しい。

えっ、じゃがバターに塩辛がついていない、

と思ったが、ホクホクでこれも美味しい。

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そして久しぶりに日本酒。

値段を見ると、

「220円???」

なんでこんなに安いの?

店の人に聞くと、この銘柄は契約しているから安いらしい。

「前は180円だったんですよ。40円も値上げしたんです」

えっ。

40円もですかーーー。

大変ですね。

と言ったら、なみなみと注いでくれた。

サービスらしい。

……そして、日本酒と刺身のおかわり。

これが効いた。

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店を出るころには、もうヨロヨロ。

「狸6だったよな……。狸2まで歩くの、きついな」

と思いながらも、寄り道をせずに無事帰還。

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宿に着くと、漫画喫茶なのに同じところをぐるぐるしている感じがする。

あれ? ここ、さっきも通ったよな?

どうやら酔っている。

やっぱり日本酒は怖いな。

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