過去の経験から、七夕のイカメタルはいい思い出しかない。
今年も期待しながら港へ向かう。
ところが、乗船10分前に警察から電話が入った。
昨日、通報した件で、親御さんがお礼を伝えたいとのことだった。
「出船前だから今じゃなくても…」
そう思ったものの、断る理由もなく電話に出る。
正直、明日にしてもらえばよかったと少し後悔した。
電話口では親御さんが泣いていた。
きっと想像以上に大きな出来事だったのだろう。
私は
「早く元気になるといいですね。」
と、どこか他人事のような受け答えしかできなかった。
あれでよかったのだろうか。
そんなことを考えながらも、気持ちを切り替えてイカ釣りに集中する。
この日は他船から「マグロが跳ねている」と連絡が入り、ポイントは少し深めの67m。
まずは底から探るが、まったく反応がない。
「短冊に77杯釣れますようにって書かなかったからかな。」
そんなことを思ったが、いや違う。
もし短冊に願いを書くなら、
「昨日の子が早く元気になりますように。」
それが一番だった気がする。
左隣では、ひときわ鮮やかなロッドさばきで次々とイカを掛ける人がいた。
船長に聞くと、釣具メーカーの方とのこと。
まさに達人。
私の3倍近いペースで釣り続け、久しぶりにオモリグの威力を目の当たりにした。
私はオモリグタックルを持っていないので、メタルで似たようなアクションを試してみる。
……もちろん、そんなに甘くはない。
結局、釣果は24杯。
数は伸びなかったものの、サイズが良かったのが唯一の救いだった。


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