お昼に船長へ確認の電話。
「18時集合で」
……おいおい、出すんか。

港へ着くと、心配していたうねりはほとんどない。ただ、風はそれなりに吹いている。
空を見上げると、戦闘機が何度も飛び交い、その合間を縫うようにトンビが旋回している。
風向きも落ち着かず、何となく嫌な予感がする空模様だった。
今日は状況が読めない。
そこで、どんな展開にも対応できるよう、タックルは3本体制。
イカメタル×2、オモリグ。
正直、3本はかさばるし重い。帰ってから洗う手間も増える。
それでも、そんなことを言っていられる海況ではない。
目標は欲張らず40杯。
無理をせず、「ご安全に」モード。
無事に帰ってくることを第一に、出船。

ポイントに着くと、見渡す限り他船の姿がない。
普段なら船、船、船のエリアなのに、今日は貸し切り状態。
「おいおい、大丈夫か?」
逆にそう思ったが、実際に大丈夫ではなかった。
数秒おきにスプラッシュマウンテンの無重力状態を味わうような激しいうねり。ある意味、お得なアトラクションである。
嫌な予感とは裏腹に、明るいうちからイカの反応はあった。
うねりがひどいので、フォールレバーを使ってスローフォールを意識すると、いきなりダブルヒット。
幸先の良いスタートだ。
その後もポツポツと釣れ続ける。
表層では海鳥がイカを追い回し、捕食していた。
海は生命感に満ちあふれ、生物たちのスイッチが入っているようだった。
しばらく釣っていると、軽いシンカーに浮きスッテ×2で攻めると、簡単にヒットすることが分かった。
ただ、サイズはやや小ぶり。
数を稼ぐなら、このままメタルを続けるのが正解だったかもしれない。
でも、それでは「チーズはどこへ消えた?」のヘムと同じ。
今あるチーズに満足して動かなければ、新しいチーズは見つからない。
そこでメタルをやめ、新しく買ったオモリグロッドを投入した。
キャストして67mで着底。鋭く3回ジャークしてビタ止め。
これが大正解だった。
周りがうねりに苦戦する中、コンスタントに良型を追加。
一人ニコニコが止まらない。
「オモリグロッドを買って良かった」
そう思えた瞬間だった。
このコンディションで、サイズ狙い込みの35ハイなら上出来だろう。
メタルで浅棚を狙えば数はもっと伸びたかもしれない。しかし今回は、オモリグでベタ底の良型狙いを試すことが出来た。
そして狙い通り、エンペラひとつ大きいサイズを揃えることができた。
ロッドを手に取った時に思い描いた釣りができた一日だった。



コメント