近くに用事があったので、通りすがりに寄ってみる。
並びは2組だと思ったが、中で待っている人もいたので、実際は5組。
30分ほど待つ。
土日にこの店舗へ来るのは初めて。
平日より明らかに客が多い。
そして、大体が定年退職した人という感じ。
夫婦で来店している人が多かった印象。
今日の対面は、初めての方。
若いオネーサン。
手にタブレットを持っていない。
なんで?
あー、土日に来ないから、一見客と思われているのかも!?
「顧客登録しているので、タブレットを見てもらえますか」
と言って、取りに行ってもらう。
おねーさん、ちょっとだるそう。
いやいや、そこは大事だろう。
で、希望リストを見てもらう。
「DJ、GMTをお探しですね」
「そうなんですが、この前、並んでる時に他のお客さんのオイスターフレックスを見せてもらって、そっちに興味が行ったので、変更してほしいです」
「えっ? 並んでいる方同士でですか?」
「はい。なんか、その方がトイレに行って帰ってきたら会釈されて、時計みて、つい『かっこいいですね』って言って、そこから立ち話になりました」
「そうすると、具体的にはどのモデルでしょうか?」
「1番がヨットマスターオイフレです」
「えっ?」
「あー、オイスターフレックスです。イエローゴールドの」
「えっと……」
タブレットの画面を、
「ここの、ココって感じです」
と指で示す。
あー。
金無垢を買うような人間とは思われてなかったのかな。
まあ、そうだよな。
なかなかいないと思うので、
「こっちは難しいと思うけど、デイトナのオイスターフレックスも第2希望で登録をお願いします」
「はい。分かりました」
ん?
なんか、急に接客が丁寧になったぞ。
5~700万円の時計を買うって言ったからか?
まあ、いいや。
なんか食いつきが良くなったので、そのまま雑談で結構話し込む。
いつも思うのだが、販売員って投資信託とかしてないんだよな。
お金の話がかみ合わない。
なので、旅行とかの話をして、和やかに雑談。
なんか、雑談で体感30分。
凄く時間が経過したので、それとなく在庫を促してみる。
……確認に行かない。
もっと話したいのか?
みたいな感じで、さらに10分延長。
さすがに立ち話は疲れたので、
時計の話に誘導し、会話の末尾に、
「あまり期待はしていませんが、見てもらえますか」
と、お願いする。
すると、その前に、
「本日、身分証明書はお持ちですか?」
えっ。
これ、いけるやつじゃん。
まじか?
そう思っていると……
メチャクチャ残念そうな顔で戻ってくる。
あっ。
奥で上司からNGを出されたな。
察する。
「いえいえ、ありがとうございました。
お話しできて、とても楽しかったです」
といった感じで退店。
帰りながら、
「在庫はあるけど、買えないパターンだよな」
と思う。
ただ、この店員さんなら、買えそうな感じがする。
上司を説得するフレーズがあれば、なんとかなるだろう。
もう、女神がいないのだから、自力で何とかしないと。
